
2024
JURY PRIZE
審査員特別賞
落書き写真(タイル状の壁)
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Year:
2024
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Size:
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Material/Technique:
こどもの頃から社会に対する不安や自己否定が強く、漠然とした生きづらさを抱えていたが、写真と出会ってからは自己を受け入れられるようになり、自然と自由な自己表現としてのアートにも興味を持つようになる。ある日、日が暮れて誰もいなくなった公園の砂場で、こどもが描いたであろう落書きを見つける。一人その場に佇み、食い入るように見つめた後、おもむろにスマートフォンのカメラでその落書きを1枚の写真に収めた。本作はその時の写真をヒントに制作している。カメラと画像編集ソフトを使用して写真を抽象的なイメージへと昇華させ、そこに別で撮影した地面や壁の写真を合成することで不思議な造形を生み出している。
審査員員評

黒澤 浩美
Hiromi Kurosawa
21世紀の人々はカメラという機械の眼によって、世界の断片を収集しているが、何を写し取るのかは、ひとえにシャッターを切る人の選択に拠る。写真が「現実と創造力の交差」と言われる所以だ。isousinは街中の建物や道路の一部に見られる模様に関心を寄せて、それらを写し取り、その上に別に撮影したイメージを重ねる。このレイヤーによって抽象化された被写体が、印画紙から浮き出すように存在感を増す。子どもが地面に落書きをしていたのを見て思い立ったというが、そこから在るモノに被せる手法を思いつくとは驚きだ。小さめの作品サイズも功を奏し、作品それ自体、まるでパズル化された街の1ピースのように見える。秀作である。
作家プロフィール
isousin
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国籍:
Japan
協賛企業