
2025
JURY PRIZE
審査員特別賞
タイトル不明
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Year:
2025
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Size:
544×767mm
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Material/Technique:
ペン、紙
2024年よりやまなみ工房に所属し、創作を始める。彼の制作スタイルは特定のテーマを決めず、思うままに描くことがほとんどである。本人に尋ねても「特にテーマはないが、以前描いた作品と同じようにならないように気をつけている」と話す。自分らしい表現を模索しながら、さまざまな画材や作品サイズにも前向きな姿勢をみせている。この作品について作家は「紙いっぱいに線を埋め尽くそうと思った」と語る。その瞬間を大切にしながら感覚的に筆を進めているが、そこには彼独自のルールが感じられる。
審査員員評

黒澤 浩美
Hiromi Kurosawa
幾何学的で細密なかたちが、静かだが力強いエネルギーに支持されて、何かの調和へ向かおうとしている。絶対的な秩序を捨てて、無作為で自由な線とかたちが次々と生まれている。ペン先の進む事態の後を追うと、線の方向、長さ、色の使い分けによって、都市的空間がさまざまな方向に広がっているのが見える。有機的形態は繊細に増殖しながら、建築的な奥行きと重なりとして現れ、風景になっていくのだ。単なる断片的なかたちの集積ではなく、作家の身体を通した、ひとつの統一された経験によって描かれているがために、コスモ的空間を感じさせる。この作品の中では部分と全体の不可分性が不思議と嫌味なく成立していて、作家が世界をどのように経験し、身体を通じてどのように色かたちを配置するのか、制作の過程に強い関心が湧く。
作家プロフィール
Aot
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国籍:
Japan
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所属:
やまなみ工房
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